病院は薬剤の在庫を持たなくなる?! [イベントレポート]HOC Vol. 2(前編)
2017年11月25日(土)、病院経営・運営に携わる人達が集まって、互いの運用ノウハウや成功体験を共有する勉強会 "Healthcare Ops Connect Vol. 2" を開催しました。
勉強会は、マクロ編とミクロ編の2部構成で行われました。
マクロ編
- 福神 雄介 氏:エス・エム・ディー株式会社 代表取締役
「Specialty時代の患者別サプライチェーンについて」
ミクロ編
- 済生会横浜市東部病院 医事企画室 主任 金城 悠貴氏
「医療経営人材のネットワーク構築」「医事課は何をなすべきか」 - 聖路加国際大学 情報システムセンター 堀川 知香氏
「QI委員会の活動について」
前編ではマクロ編について、グラフィックレコードと写真を交えながらレポートします。
※グラフィックレコードは、"ヘルスケア・グラフィックレコーダー"の為本さん、写真は山本さんにご協力いただきました。
在庫を持たない薬剤管理の時代に
マクロ編で登壇いただいたのは、エス・エム・ディー株式会社 代表取締役 福神雄介さんです。
福神さんには、「Specialty時代の患者別サプライチェーンについて」というテーマで、50分ほどお話いただきました。
福神さんの所属されている会社は、おもに医薬品の卸販売、輸出入等ならびに調剤薬局の経営を多岐にわたっておこなうアルフレッサグループのひとつです。
エス・エム・ディー株式会社は、その中で、Specialty医薬品における流通の一元管理を行っている会社です。
Specialty医薬品とは?
Specialty医薬品とは
- 主として専門医のみが扱う
- 薬剤費が高額
- 一般的には経口薬ではない
- 患者へのサポートが必要
- 取り扱い方法が特別(保冷・冷凍・超冷凍)
- 限定された医療機関のみに供給される
医薬品のことです。
例として、乳児型脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬「スピンラザ®」という薬は、薬価が9,320,424円/瓶ほどします(2017年11月時点)。
病院側での在庫をゼロに
Specialty医薬品は、期限も短くかつ高額で、管理方法も特別であるため
- 病院側で在庫を抱えたくない
- 患者さんの投薬スケジュールに合わせた適切な配送
という管理が必要とされる難しい医薬品です。
エス・エム・ディー株式会社は、取引している医療機関の、患者さんの投薬スケジュールを管理することで
- 病院側での在庫ゼロを可能に
- 海外から医療機関までの医薬品直輸送も可能に
しています。
福神さんは、今後、情報をもっと共有化することで、コストを削減できるTOYOTAの「カンバン方式」を、医薬品の世界でも実現していきたいと語られていました。
情報の共有化が病院のコスト削減に
提言として、
- 電子カルテのつなぎ込みにはどうしてもコストも時間もかかってしまう。
- 治療計画が立てやすいものから、卸側から情報の共有化を実現し
- 病院のコスト削減を実現できるのでは?
というお話を最後にされていました。
マクロ編 福神さんの講演を通して
病院間の連携の話を聞くと、システム連携や患者さんの間の情報の連携ということで、医療機関同士が協力して、繋いでいくイメージがあります。
ただ、網羅的に初めから情報を共有化するのはハードルが高いはずです。そんな中、治療計画が立ちやすい患者さんから薬剤の在庫管理の視点で、情報をつなげていくというお話は目からウロコでした。
後編はこちら
0コメント